ビジネスで利用されているコンピューターはWindowsという環境が圧倒的に多いと思います。Windowsで利用するユーザーやPCについてのセキュリティや管理の煩雑さを解決するシステムActive Directoryです。
Active Directory(AD)はMicrosoftが提供するディレクトリサービスで、組織内のユーザーアカウント、コンピュータ、およびリソースの管理を簡素化するために使用されます。またユーザーの集中管理を行うだけでなくセキュリティや認証基盤といった機能も提供しており適切に導入することでシステム管理に大きなメリットがあります。

レムシステムでは多くのActive Directory環境を導入しており、ビジネスに必要とされる機能だけでなく費用対効果の高いシステム導入を行います。

Windowsのユーザー管理でお悩みの管理者へ

 社員の皆さんが利用しているWindows PCのユーザーアカウント管理にお悩みではないでしょうか。利用している全てのPCにローカルユーザーやグループを設定している。この運用でもアクセス権などを設定することはできます。しかし、この運用で以下のようなトラブルが発生した場合、どのようなリスクが想定できるしょうか。

PC毎にユーザーを作成している場合のリスク
  • PCの入れ替え毎にユーザーを作成するためセットアップに時間がかかる
  • アクセス先のサーバー(例:ファイルサーバー)にもユーザーの作成が必要になる
  • ユーザーアカウント管理が煩雑になる
  • ユーザーがパスワードを失念した場合にリセットができない
  • PCに自由にアプリケーションをインストールされ、セキュリティ面でリスクがある

 上記のようなリスク運用にかかる工数は、PCごとにユーザーを管理する環境では減らすことができません。システム管理者が他の業務を兼業している場合にはPCのセットアップで一日を使ってしまうことも多いかと思います。このような運用をしている環境はかなり多く、夜遅くまでPCと格闘しているシステム管理者も多く見かけます。そんなシステム管理者を助けるために用意されたシステムがActive Directoryです。

Active Directory導入の具体的なメリットは?

 具体的にActive Directoryを導入することでどのようなメリットがあるか。導入するにあたってのメリットは一番知りたい部分だと思います。ここではActive Directoryを導入するメリットをいくつか紹介します。紹介する内容はActive Directoryを導入する一般的な環境の例です。

これ以外でも個々の組織の要件やニーズに応じて、Active Directoryのメリットや必要性は変わってくる場合があります。一般的なワークグループ環境にActive Directoryを導入することで得られる代表的なメリットに絞って紹介していきます。

ユーザーやPCリソース管理の軽減

 Active Directoryを導入することでWindowsのユーザーアカウントやPCリソースの管理を一元的に行うことが可能になります。ある程度、規模の大きな組織や企業では、既にActive Directoryを導入してユーザーアカウントとアクセス権の管理を行っているところが多いかと思います。これはユーザーアカウントやアクセス権の管理、PCリソースの管理を個々に行うことが現実的ではないほど負荷になることが理由です。
 
 Active Directoryに登録されたユーザーは一意のアカウントでネットワークリソース(ファイルサーバーなど)にアクセスし、セキュリティポリシーやアクセス制御を適用することができます。

シングルサインオン(SSO)の実現

 Active Directoryを使用すると、ユーザーは一度認証すれば、複数のシステムやアプリケーションに対して同じ認証情報を使用してアクセスすることができます。これをシングルサインオン(以下SSO)と呼びます。SSOにより、個々のシステムで認証が不要になることからユーザーエクスペリエンスが向上し、パスワードの維持や管理の手間が軽減されます。

 ネットワーク機器のMACアドレス認証やActive Directoryに対応したグループウェアなどはSSOでさらに便利に利用できるようになります。

グループポリシーによるセキュリティ対策

 Active Directoryを使用すると、組織内のコンピュータに対してグループポリシーを適用することができます。グループポリシーは、効率的なネットワーク管理とセキュリティの確保に役立つ強力なツールです。組織内のコンピュータとユーザーアカウントの設定と制御を一元化するために用意されたポリシーセットになります。

グループポリシーを使用すると、組織内の複数のコンピュータやユーザーアカウントに対して一元的に設定を適用できます。これにより、一貫性のあるセキュリティポリシーや設定を確保することができます。
またパスワードポリシーやアカウントロックアウトポリシーなどのセキュリティ関連の設定を適用できます。これにより、組織全体でセキュリティの基準を確立し、情報漏洩や不正アクセスのリスクを低減できます。

このようにグループポリシーを利用することで、セキュリティ設定やアプリケーションの構成を統一し、管理の容易化やセキュリティの向上を図ることができます。

ユーザー作成と管理の効率化

 Active Directoryを使用すると、新しいユーザーアカウントやコンピュータの追加、グループの作成などを効率的に行うことができます。Active Directoryが導入されていない環境(ワークグループ環境)では個々のPCにアカウントを作成した上で、接続先のサーバーにも同じ情報をもつユーザーアカウントを作成する必要があります。

このような運用ではユーザーアカウント管理とアクセス権管理が煩雑になり管理に時間と手間がかかります。Active DirectoryではユーザーアカウントはActive Directory上に作成することで一元的に管理を行います。作成や削除、グループの追加なども全てActive Directory上での操作で完了します。これにより、ユーザー管理やリソースのデプロイメントプロセスを自動化し、時間と手間を節約できます。

セキュリティ管理と監査

 Active Directoryは組織内のネットワークのセキュリティを強化し、潜在的な脅威やセキュリティインシデントを追跡・監視する機能もあります。ログイン情報やアクセス権の管理に関する情報を集約し、セキュリティポリシーの遵守や監査のための情報を提供します。組織はセキュリティイベントの監視やリスクの特定に活用することができます。

 例えば監査ログを収集し、セキュリティインシデントのトラッキングと調査をサポートします。監査ログは、ユーザーのログオンイベント、アクセス権の変更、グループメンバーシップの変更などの重要なイベントを記録します。これにより、セキュリティ違反の特定や異常なアクティビティの検出が可能となります。

生成されるログは大量になり検索や閲覧に時間がかかりますので、ログを見やすい形で生成するアプリケーションも用意されています。こういったシステムを組み合わせることで内部統制にも有効に利用することが可能です。

Active Directory導入前の検討事項

 Active Directoryはユーザー数や拠点数、また利用したい機能やネットワーク構成によってさまざまな点を検討することが必要になります。しっかりと事前に検討をおこない要件を確定することで規模に関わらず有用なシステムを導入することが可能です。ここではActive Directoryを導入するにあたって必要となる検討事項をいくつか紹介します。

1.サーバーサイジング
OSライセンス

Server Sizing
OS License

 Active DirectoryはWindows Serverオペレーティングシステム上で動作します。そのためActive Directoryを導入するには、Windows Serverのライセンスと適切なハードウェアが必要です。ドメインコントローラのハードウェア要件に合わせて、サーバーの性能やストレージの容量を選定する必要があります。

2.ネットワーク
インフラ

Network
Infrastructure

 Active Directoryは組織内のネットワーク環境に統合されます。そのため、十分なネットワーク帯域幅や適切なネットワークインフラストラクチャが必要です。ネットワークのトポロジーやセキュリティ要件に基づいて、Active Directoryの設計と展開を行う必要があります。

3.ドメイン名

Active Directory
Domain Name

 Active Directoryの導入には、一意のドメイン名が必要です。ドメイン名は組織のインターネットドメイン名とは異なり、内部ネットワーク上で使用される識別子です。ドメイン名の選択は慎重に行い、将来の拡張や変更にも対応できるようにする必要があります。

4.ドメイン
コントローラー

Domain Controller

 Active Directoryの中心となる役割を果たすドメインコントローラを設定する必要があります。ドメインコントローラは、ユーザーアカウントやグループの管理、認証、セキュリティポリシーの適用などを行います。大規模な環境では、複数のドメインコントローラを配置して冗長性を確保することが推奨されます。

5.セキュリティ
ポリシー

Security Policy

 Active Directoryは、組織のセキュリティポリシーを実施するための重要な要素です。セキュリティポリシーの定義や適用方法に関する要件を明確にする必要があります。パスワードポリシー、アクセス制御ポリシー、監査ポリシーなどの設定を検討し、適切なセキュリティレベルを確保する必要があります。

 これらは一般的なActive Directoryの導入要件ですが、組織の特定の要件や目標に応じて、追加の要件が生じる可能性もあります。Active Directoryの導入を検討する場合は、組織のニーズと目標を評価し、適切な設計と展開計画を策定することが重要です。

このようにActive Directoryは用途やユーザー数、環境に応じて検討する点が多くあります。「ユーザーアカウントを管理するだけ」と適当な構成で導入することは避けて、専門家に相談することをおすすめします。

Active Directoryを導入するためのポイント

 Active Directoryを導入する前に必要なポイントをいくつか紹介していきます。Active Directoryは運用の要になる重要なシステムです。事前に検討する事項とポイントを明確にすることで組織にフィットしたシステムになりますので、しっかりとポイントを押さえておくことが必要です。

Active Directoryの導入を検討する前に、組織のビジネスニーズを評価しましょう。Active Directoryは、ユーザーアカウントとリソースの一元管理やセキュリティポリシーの適用、効率的なリソース共有など、さまざまなビジネス上の要件をサポートします。導入によってどのような利益や改善が見込まれるかを明確にしましょう。

インフラストラクチャの設計
01
Active Directoryの導入には適切なインフラストラクチャの設計が必要です。ドメインの設計、ドメインコントローラの配置、サイトの構成などを検討しましょう。組織のサイズ、地理的な配置、ネットワークの帯域幅などに基づいて、効果的なActive Directoryインフラストラクチャを計画しましょう。
セキュリティ要件の考慮
02
Active Directoryは組織のセキュリティ要件をサポートする重要な要素です。セキュリティポリシーやアクセス制御ポリシー、パスワードポリシーなどの要件を明確にし、Active Directoryの設定と構成に反映させましょう。また、Active Directoryのセキュリティ監査やログ管理の手段も検討しましょう。
ユーザーとリソースの移行計画
03
既存のユーザーアカウントやリソースをActive Directoryに移行する計画を策定しましょう。ユーザーアカウントの移行、グループの作成、共有フォルダやリソースの移行などを段階的に実施することで、運用上のスムーズな移行を実現できます。
トレーニングとサポート
04
Active Directoryの導入には管理者やユーザーへのトレーニングとサポートが重要です。Active Directoryの管理や使用方法についてのトレーニングを提供し、問題が発生した場合のサポート体制を確立しましょう。ユーザーにとってActive Directoryの利点や使い方を理解することで、システムの効果的な活用が促進されます。

これらのポイントを考慮することでActive Directoryの導入を成功させることができます。またプロジェクトの進行状況を定期的に評価し、必要に応じて計画の修正や追加の対応を行うことも重要です。

レムシステムがActive Directoryの導入に強いわけ

 レムシステムでは特定のメーカーやベンダーに依存していません。そのため機器やソフトウェアは自由度の高い、最適で安価な製品を選択できるという強みがあります。作業については調査、設計から構築(サポート)まで全てを自社内で行います。レムシステムではActive Directoryの導入にあたって経験豊富なエンジニアがヒアリングから、設計と構築、導入までをワンストップで対応します。そのため、導入後のサポートも構成を理解したうえで、信頼性の高い内容を提供することができます。

Active Directory 導入の費用

 Active Directoryの導入費用については、お客様の環境に合わせたカスタムプランを前提としていることから、都度のお見積りとなります。規模や要件によりますがハードウェアやライセンスを除いた小規模での作業費用は30万〜50万前後が実績としては多くなっています。

 御見積書のご提示までは無料で全国対応しています。(遠距離の場合にはお電話のヒアリングとメールでの調査を事前に行います。)Active Directoryの導入についてのお問い合わせやご相談はフォームかお電話からお問い合わせください。小さなお悩みや疑問点でも気になった点は相談で解決できます。