エンドユーザー様から他社で導入したNAS(Network Attached Storage:ネットワーク経由で接続するファイルサーバー)に接続できないというお問合せを頂きました。他社が導入した機器になりますので、通常は導入した業者に問い合わせる内容ですが、導入した業者に連絡しても電話が繋がらなかったので弊社に連絡をしたということ。(後から聞いたところ、NASを導入した業者は倒産したようです。)

弊社が導入したネットワーク機器のリモート保守契約を締結しているお客様のため、社内ネットワークにVPNでリモート接続してトラブルシューティングしましたが、ネットワークの接続性が確認できないため本体に障害が発生していると判断して現地で確認することになりました。
現地で確認するとNASRAIDランプ異常を示す状態になっており、正常に動作していないことが確認できました。

NASのRAIDが破損

電源の入れ直しと再起動でウェブ経由の管理画面に接続できるようになりましたので、早速、状況を確認してみるとRAIDが破損しているという情報。
RAID6で構成していたためディスクが2台故障するまでは動作するはずですが、RAIDを構成するRAID情報に破損があったようです。自動的なリペア(修復)も失敗していることから復旧は難しいと判断し、まずはデータだけでもリカバリーする必要があると考え、アクセスできているうちにデータをネットワーク経由でコピーしました。

データのリカバリとファイル共有の一時的な復旧

データ量が多くコピーに時間がかかりましたが、完了後にしばらくするとNASには完全にアクセスできない状態になってしまいました。
その間ファイルサーバーを利用する業務は完全に停止してしまっていますので、復旧を優先し、弊社で用意した仮サーバーにデータをコピーし、ファイル共有を設定し利用していただきました。

故障したNASLinuxベースのもので、よく量販店で販売メーカーのモデルですがユーザー数やデータ量を見る限り、マッチしていないように見受けられます。
また詳しくヒアリングしてみるとファイル共有が遅いという話もありましたので、このタイミングで別のファイル共有を行うシステムを提案することになりました。

HP Storeeasyの提案

最初の選択としてはWindows Serverをインストールしたファイルサーバーを導入するという形でしたが、お客様ではこれまでNASを利用していたためWindows Serverを導入するにはCAL(クライアントアクセスライセンス)を購入する必要があります。
Windows Serverの導入でネックになるのがこのCALです。ユーザー数が少ないとそれほどコストはかかりませんが、1ユーザーあたり定価ベースで7,000円程度(UserCALの場合)になります。
今回は80ユーザーになりますので、サーバーとCALを含めるとそれなりの金額が必要です。

クライアントアクセスライセンスが不要

上記のようにCALのコストを考慮して、CALが不要なWindows Storage Server OSベースのNASを選択しました。選択したNASはHP Storeeasyです。

hp-storeeasy1560
HPE Storeeasy 1560

故障機器入れ替えを考えると短い納期で納品できるもの、かつ故障時でも修理までの時間を短くできるしっかりとしたオンサイトサポートがあるメーカーのものが選定対象になりますが、HP Storeeasyはその両方をクリアしていました。(レムシステムではパートナー契約があることからDELLを選定する場合が多い)

仮のサーバーで運用している環境だったため、早めにエンドユーザー様に提案と費用の提示を行い発注をいただきました。短い納期で納品できるモデルのため早めに納品、仮サーバーからデータ移行を行い切り替えて現在は安定して稼働しています。

Windows Storage Serverに変更した利点

HP StoreeasyはWindows Storage Server OSNASで、ボリュームシャドーコピーAzureへのクラウドバックアップなどデータの保全性についても設定を行い、バックアップがなかった以前の環境とは、比較できないくらいに安心できるものになりました。
障害時のサポートもメーカーのオンサイトサポートが付いたモデルになりますので、短時間で復旧することができます。

HP StoreeasyはNASですが、本体はHPのサーバーがベースになりますので、搭載しているメモリやCPU、ストレージの性能も以前に利用していたNASと比較して格段に良くなっており、ファイル共有の応答性も改善されたという声も頂きました。

サーバーや機器の故障時は、単に入れ替えるだけではなく問題点を改善するタイミングでもあります。そういったときこそシステムの更新を考えてみることをお勧めします。